あらすじ
テッドとジョアンナの結婚生活は8年目を迎え、一人息子ビリーも7歳となったクレイマー家。ジョアンナは、かねてより家庭を顧みず仕事優先の生活を送るテッドに不満を募らせていた。そしてある日、ついに彼女は自立を決断し、家を出て行ってしまう。一転して妻に任せっきりとなっていた家事と仕事の両立をせざるを得なくなったテッド。しかし始めは覚束ないものの、次第に2人の生活にも慣れ、これまで以上に父と子の絆を強めていく。だがそんな中、ジョアンナが突然養育権を訴えてくる。失業したことも重なってテッドに不利な形で裁判が進み、はたして養育権はジョアンナ側に。こうして、テッドとビリーは父子最後の朝食を迎えるのだが…。
クレイマー、クレイマー コレクターズ・エディション [DVD]
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結末
ジョアンナ・クレイマー(メリル・ストリープ)は結婚して8年。今日も夜通し帰らぬ夫を持ってついに夜明けを迎えていた。最初は幸せだった結婚生活も、今ではもう無意味なものに感じられていた。夫テッド(ダスティン・ホフマン)は仕事第一主義で帰宅はいつも午前様だ。3人の間には会話すらなくなっていた。
7歳になる子供ビリー(ジャスティン・ヘンリー)のことを気にしながらも、ジョアンナは自分をとり戻すために家を出る決心をした。寝息をたてるビリーに“アイ・ラブ・ユー”とささやきかけ、スーツケースを片手にまさに家を出ようとした時、テッドが帰って来た。上機嫌で帰って来たテッドは、妻のこうした変化には気がつかず、妻の別れの言葉も耳に入らない。ジョアンナは、こうしてエレベーターの向こうに消えていった。冗談だと思っていたテッドだったが、翌日、オフィスから自宅にかけた電話に誰も出ないことから、事の重大さをはじめて感じた。テッドの生活はその日から一変した。これまでノータッチだった家庭の仕事をまずやらなくてはならなくなった。朝食のフレンチ・トーストをビリーと作り、ビリーを学校まで送っていき、それからタクシーに飛び乗り会社に向かう。
上役の心配は的中し、テッドは家の中にまで仕事を持ち込むはめになり、しかもその場もビリーに邪魔された。父子2人の生活はうまくかみ合わず、まるで憎み合っている関係のように感じられることもあったが、そんなことを繰り返しながらも、少しずつ互いになくてはならない存在になっていった。隣室に住むマーガレット(ジェーン・アレクサンダー)は離婚して、1人で子供を育てている身の上だったが、テッド父子に暖かい気遣いを示し、テッドのよき相談相手になっていた。
ところが、テッドに思いもかけない出来事が待っていた。公園のジャングルジムから落ちて、ビリーが10針も縫う大ケガをしたうえ、1年以上も音沙汰なかったジョアンナが突如現われて、ビリーを取り戻したいと言ってきたのだ。折りからテッドは失業。弁護士によると、この条件では、裁判は母親が有利だという。東奔西走してやっと職はみつかったものの、裁判は予想通りテッドには不利に運び、結局ビリーはジョアンナの手に渡ることになった。
ビリーなしの生活は考えられなくなっていたテッドは狂乱状態に陥った。2人が最後の朝食であるフレンチ・トーストを手ぎわよく作りはじめたころは、ビリーの目は涙であふれていた。
そんなビリーを見て、テッドも悲しみをこらえることはできなかった。ただ黙ってジョアンナがくるのを待つ2人。ジョアンナからの電話で階下に降りていったテッドは、しかしそこで、落胆したジョアンナの姿を目にした。彼女は、“ビリーのためには、この家にいるのが一番いい。私は連れていかないことに決めた”といってエレベーターに乗り込んでいくのであった。