解説
『紀子の食卓』が世界的に高く評価された園子温監督が、実話をベースに描く究極の純愛物語。幼少時に母親を亡くし理想の女性像を追い求める主人公を、人気グループAAAの西島隆弘が熱演。ヒロインに『プライド』の満島ひかり、彼らに近づく新興宗教団体の女に『風の外側』の安藤サクラがふんするほか、渡辺真起子、渡部篤郎ら実力派が脇を固める。カリスマロックバンドのゆらゆら帝国が、初めて映画に楽曲を提供しているのも話題だ。
予告編
あらすじ
敬虔なクリスチャンの一家に生まれた青年、角田ユウ。
母を早くに亡くし、神父の父テツと2人暮らしの彼は、理想の女性“マリア”に出会う日を夢見て満ち足りた毎日を送っていた。
ところが、ある出来事をきっかけに優しかった父はユウに懺悔を強要するようになる。父の期待に応えねばと、懺悔のための罪作りに励むうち“盗撮”の世界に没入していくユウ。
そんなある日、彼は仲間とのゲームに負けて罰ゲームで女装している最中に運命の女性ヨーコと出会い、一瞬で恋に落ちるのだったが…。
結末
角田ユウ(西島隆弘)は幼いころに母を亡くすが、神父である父親・テツ(渡部篤郎)と2人で幸せに暮らしていた。ユウは、母の思い出を胸に、理想の女性“マリア”に出会う日を夢見ていた。
ある日、自由奔放で妖艶なサオリ(渡辺真起子)が現れる。テツはサオリに溺れていくが、サオリはテツの元を去る。
サオリを失ったテツは人が変わり、神父として、ユウに毎日“懺悔”を強要するようになる。父との繋がりを失いたくないユウは、様々な罪を時には創作して懺悔した。
その中で女性の股間ばかりを狙う盗撮だけは、父に決して許されなかった。しかし、それこそが父への愛だと感じたユウは、その行為に没頭していく。
ある日ユウは盗撮仲間とのゲームに負け、女装して女性をナンパすることになる。そして、街でチンピラに絡まれていたヨーコ(満島ひかり)と出会う。ユウにとってヨーコは、探し続けていた“マリア”だった。ヨーコも、女装したユウである謎の女・サソリに恋をする。
ヨーコと出会って数日後、父がサオリと再婚することになる。サオリは連れ子としてヨーコを連れてくる。ヨーコはサソリに恋していたが、ユウのことは毛嫌いする。女装すれば愛され、兄としては嫌われるユウは混乱し、盗撮を続けていく。
そのころ、狂信的な信者を増やし、営利を貪る新興宗教団体“ゼロ教会”が世間を賑わせていた。ゼロ教会教祖の右腕・コイケ(安藤サクラ)は角田家に近づく。コイケはユウの行く先々に現れたり、ヨーコに自分がサソリだと思わせ、家庭の中に入り込んでいく。
コイケはユウの盗撮をばらし、ヨーコのユウへの憎悪を増加させる。テツやサオリもコイケに洗脳されていく。家族の不信感を払拭できず、ユウは家を出る。時が経ち、ユウが家に戻ると、家族やコイケは姿を消していた。ユウは家族を取り戻すため、ゼロ教会へ戦いを挑む。
入信したユウは隙を突いて教団本部に忍び込みヨーコを助け出そうと試みる。そして、ゼロ教会の本部を爆破する。しかし深い洗脳にかかってしまっていた ヨーコ、テツ、カオリはユウが乱入したその場では洗脳が解けなかった。それどころか教団組織の人間に取り押さえられ、ユウは錯乱する。
だが、ユウが爆弾で教団本部を爆破したことで以前から問題視されていたゼロ教会内部に強制捜査が入り、ゼロ教会は解体させられる。テツとカオリはゼロ教会被害者の会の施設で暮らし始め、ヨーコは親戚の家で世話になる。
ヨーコは、ユウの自分への想いに気づく。だが、ユウは錯乱状態にあり、精神病院に入院していた。ヨーコはユウと面会。ユウはサソリの格好をしており、自分をサソリだと思っている。ヨーコの訪問により、自分を取り戻したユウは、ヨーコを追いかける。
ヨーコは、病院で暴れたため、パトカーで連行されそうになっていた。その窓を破り、ユウはヨーコと手を結びつけるのだった。