秘めた思いは、「月の光」とともに溢れだす…「さよならドビュッシー」 結末




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解説

第8回「このミステリーがすごい!」大賞に輝いた中山七里の小説を、久々にメガホンを取る利重剛監督が映画化。火事で重傷になりながらも、懸命にピアニストを目指す少女が不可解な事件に巻き込まれていくさまを、ドビュッシーやショパンの名曲に乗せて描く。主演は、『桐島、部活やめるってよ』など話題作への出演が相次ぐ橋本愛。ピアノ教師を、テレビドラマ「のだめカンタービレ」の吹き替え演奏で知られる人気ピアニストの清塚信也が演じる。

さよならドビュッシー (宝島社文庫)

さよならドビュッシー (宝島社文庫)

あらすじ

7歳の香月遥は、赴任先のアフリカで両親が行方不明になった同い年のいとこ、
片桐ルシアと暮らすことになった。ワイン輸入会社を経営する裕福な祖父の玄太郎(ミッキー・カーチス)に溺愛されたふたりは、共に遊び、ピアノを習い双子のように成長した。
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そして、10年後。ピアニストを夢見る遥(橋本愛)とルシア(相楽樹)は、同じ音楽高校に通っていた。ところが、幸せに満ちていた遥の人生が、突然の悲劇に襲われた!

ある晩、ルシアと祖父が暮らす離れで火事に巻き込まれ、遥だけが奇跡的に生き残る。大やけどを負った遥は、何度も全身の皮膚を移植する手術を受け、死の淵から生還したのだ。
意思疎通もままならない絶望的な状況の中、彼女がすがったのは生前のルシアと交わした約束だった。プロのピアニストになって、ルシアのためにドビュッシーの「月の光」を弾く。
遥は約束を支えに、主治医の新条医師(吉沢悠)が課す厳しいリハビリに耐え抜いた。
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遥の退院が決まり、喜びに包まれる香月家だったが、24億円にものぼる祖父の遺産を巡って相続争いが勃発した。
唯一の孫となった遥に遺された12億円は、祖父の会社が信託財産として預かり、承認されない場合は会社の資産になるという。
遥は新しい一歩を踏み出していた。ピアニストの岬洋介(清塚信也)が奏でる調べに感動の涙をこぼし、彼の指導でレッスンを再開したのだ。
岬はピアノの調律も手掛けるプロのピアニストだが、実は検察庁の検事の父を持ち、司法試験をトップで合格したエリート。
岬は他の教師にはない分析力と視点で遥の回復プログラムを編み出した。
岬の的確かつ情熱的な指導のおかげで、新条医師も驚く回復を見せた遥は、ピアノコンクールに学校代表で出場する権利を獲得した。
課題曲はドビュッシーの「アラベスク」、自由曲は亡きルシアに捧げる「月の光」だ。
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そんな遥を陥れるように、彼女の周囲で奇妙な出来事が発生する。
滑り止めに小細工が施された階段、遥を支える松葉杖の異常、天井から落下した重厚なシャンデリア……。
ピアノコンクール直前には、母が意識不明の重傷で発見される事件が発生し、遥は激しく動揺する。
遥が悲しみから解放されたとき、すべての謎が解き明かされる!
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結末


そして、ついに母も亡くなる――階段の上から何者かに突き落とされたのだ。
母や祖父、ルシアを思いながらコンクールの曲に挑む。今までしっかり聞いてこなかったドビュッシーのアラベスク。岬先生の指導のもと予選通過、そして本戦優勝。
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しかし岬先生は事件の真相を解き明かしてしまった。遥の松葉づえに細工した犯人は介護士のおばさんであったこと、そして、遥は、遥でないこと。
火事で亡くなったのはルシアではなく遥だった。
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ルシアは遥だと思われ、遥の顔に整形され、それに気づいた母に激怒され、あまりの怒号に、手を突き出してしまったのだった。
遥――ルシアは罪を償わなくてはならない。岬先生は言う、
始まりの終りだと。終わってから、新しく今度はちゃんとルシアとしての道を生きる。
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そのときまで、さよならドビュッシー。
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