概要
校内暴力が蔓延する高校に赴任して来た教師が、ラグビーを通じて生徒を教育し荒廃した学校を立て直す学園ドラマ。実話を基に描かれた本作は1984年にTVドラマ化され大ヒットした。熱血教師・山上を演じるのは芸能界きってのスポーツマン・照英。彼を支える妻役に和久井映見が好演。脇を固めるのは SAYAKAや里見浩太朗とバラエティにとんだ顔ぶれ。監督は『極道の妻たち』シリーズの関本郁夫があたる。ストレートな熱血ドラマは観るものの心に“純粋な熱意”を呼び覚ます。
予告編
解説
実話を基にかつて山下真司主演でTVドラマ化され大ヒットした熱血スポ根青春ドラマを肉体派アクター、照英主演で映画化。荒廃する高校に赴任し、不良ばかりの無名ラグビー部を受け持った元日本代表ラガーマンが、生徒たちと真正面からぶつかり合って次第に絆を強めていき、ついには全国優勝を果たすまでを熱くストレートに描く。モデルとなった京都市立伏見工業高校のOBでもある「残侠 ZANKYO」「およう」の関本郁夫監督がメガフォンを取る。
あらすじ
かつてラグビー日本代表選手として活躍した山上は、ラグビーで学校の再建をしたいと願う校長の説得を受け、荒れ果てた伏見第一工業高校に体育教師として赴任する。しかし高校の現実は山上の想像をはるかに超えていた。廊下をバイクが走り抜け、校内でのタバコも当たり前。それでも教師たちは生徒の暴力に怯えて見て見ぬ振り。中でも、山上が指導するラグビー部はそんな不良学生のたまり場と化していた。生徒たちと真剣に向き合おうとする山上の熱い想いは、かえって彼らの反発をまねくばかりで、山上は苛立ちを募らせていった。
結末
1974年、京都。校内暴力で荒廃しきった伏見第一工業高校に、一人の体育教師が赴任した。山上修治(照英)、31歳。元ラグビー全日本のスター選手だ。現役を引退した山上には有名実業団チーム監督の座が約束されていたが、職場にはあえてここを選んだ。彼の心を動かしたのは、不良たちに殴られながらも「子供たちは寂しいんや」という神林校長(里見浩太朗)の、生徒たちへの愛情だった。この言葉は、自らも寂しい少年時代を送った山上の胸に熱く響く。
そして驚くべきことに、この手のつけられない不良たちこそ、伏見第一のラグビー部員だったのだ。「この学校を、ラグビーを通じて変えて見せる」という決意を胸に、教壇に立つ山上。しかし、彼が目にしたのは、想像をはるかに超えた厳しい現実。リーゼント姿のツッパリがバイクで廊下を走りぬけ、金属バットで窓ガラスを割る。学内でのタバコや麻雀は日常茶飯。気弱な国語教師の亀田(中川家剛)など、服に火をつけられるほどだ。だが、生徒たちの暴力に怯える教師たちは、みな見て見ぬ振りをしていた。中でもラグビー部はワルの巣窟だった。山上は「One for all All for one(ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために)」というラグビーの基本精神を訴えるが、不良のリーダー格の小渕(内田朝陽)は、日本代表だった山上のエリート意識をあざけり笑う。生徒にも、仲間の教師にも、山上の熱い想いは受け入れられず、苛立ちは募るばかり。そんな彼を、妻の悦子(和久井映見)は温かく支える。やがて、ラグビー部にも変化の兆しが見え始める。道代(SAYAKA)がマネージャーとなり、新入部員も増えた。
初の対外試合も決まった。ところが意気揚々と試合に出かけてみると、集合場所に来たのは道代だけ。山上を嫌う3年生が、後輩たちを足止めしたのだ。「もう、俺の手に負えん」。落胆し、涙を流す山上を、悦子は「あんたの先生は、あんたを見捨てなかった」と叱咤する。心の奥底では子供たちは、本気で叱ってくれる大人を、本気で愛してくれる教師を求めているはずだ。そう信じる山上の姿勢は、亀田ら、事なかれ主義教師たちの気持ちも徐々に動かしていく。ツッパリの荒井(弓削智久)も、山上の熱意にほだされ、ラグビー部に入ってきた。だが、3年生たちはついに打ち解けぬまま、卒業を迎えてしまう。自分の無力を感じる山上だったが、卒業式後、荒れていた部室はピカピカに磨かれ、そこには3年生からの、メッセージがあった。「あとは頼むぞ、全日本野郎!」。彼らも、彼らなりにラグビーを愛していたのだ。もっと、その気持ちに気づいてやるべきだったと、涙ぐむ山上を、「教育はマラソンだ」と神林校長は励ます。1975年、春。中学時代から京都一のワルと恐れられた「弥栄の信吾(小林且弥)」が、伏見第一に入学してくる。入学早々、荒井をぶちのめし、豪傑ぶりを見せる信吾。その身体能力の高さと、心の中の寂しさを見とった山上は彼をラグビー部に誘う。
大酒飲みの父、大吾(間寛平)と暮らす彼の家を何度も訪ねる山上。二人は格闘になるが、山上のタックルの勢いで鴨川に落っこちてしまう。ずぶぬれの二人を、あたたかく迎える悦子。だが、初めて接した家庭の団欒に素直になれない信吾は、そこから飛び出していく。信吾を得られぬまま、迎えた京都府大会。相手は強豪の大園高校。誇らしげに全日本のジャケットを着て会場に立つ山上。小渕も荒井も全力で戦うが、子供のようにはじけ飛ばされる。その姿を見守る観客の中に、信吾もいた。結果は112対0という、前代未聞の惨敗だった。そのとき、山上の中で何かがはじけた。がっくり肩を落とす選手に、「おつかれさん」と声をかける。罵声が飛ぶと思っていた小渕らは、意外な言葉に驚く。「悔しいか?」「悔しい!先生、俺は甘かったよ!殴ってくれ!根性をたたきなおしてくれ」―泣き崩れる小渕に続いて、次々に頬を差し出す選手たち。
山上は泣きながら、彼らを殴る。そして、自らの高慢を恥じた。ついに、山上とラグビー部がひとつになった。
その日以後、山上が全日本のジャケットを着ることはなかった。心機一転、猛特訓を開始するラグビー部。そこには、あの信吾の姿もあった。山上の見込みどおり、めきめきと頭角を現す信吾を、身体が弱いためマネージャーになった望月は憧れの目で見つめる。「信吾くんは全日本のメンバーになれる。僕は新聞記者になって、君の記事を書く」望月は、大きな夢を語る。1976年。昨年の大敗がウソのように府大会を勝ち進む伏見第一であった。。
1年後、府大会を優勝し全国大会に出場を果たす
さらに3年後、全国大会にて念願の初優勝を果たす