サヨナラから はじまることが たくさんあるんだよ
解説
『連弾』から4年ぶりとなる竹中直人監督の待望の新作。ヒロイン・未知子を可憐さを残した大人の女性として好演したのは、原田知世。また北川悠仁、斉藤和義、浜崎貴司、ビッケ、田島貴男、スチャダラパーほか、ミュージシャンも多数参加している。初恋であり、現在も想い続けている女性と再会した男性をコミカルに、そしてせつなく描いた珠玉のラブストーリー。
あらすじ
海が見える病院に勤務する医者の佐々木正平(竹中直人)の元に、高校の同級生で初恋の相手・笈川未知子(原田知世)が入院してくる。正平のことを忘れているらしい未知子の態度にショックを受ける。
しかし、献身的な治療を続ける正平に未知子はしだいに心を開き、正平のことを思い出すようになる。
そして、正平の思いは未知子に通じ、二人の距離は近づき始める。やがて、未知子は治療の成果が現れ病状も回復し始めるのだが…。
結末
海を臨む病院に勤める医師・正平(竹中直人)の元に、子宮がんを患った未知子(原田知世)が入院してきた。
偶然にも未知子は、正平が高校時代思い焦がれた初恋の人、その当人であった。
気軽に独り身を謳歌しているかに見える正平には、長年付き合っている居酒屋の女将・聖子(中島唱子)や、最近知り合い、いきなり援交を申し込んできた女子高生まなみ(水田芙美子)がいるが、心の中は二十数年もの間、一途に想い続けてきた未知子でいっぱいだ。
「思い出してくれましたか? 僕のこと」。
そう問いかける正平だが、肝心の未知子はすっかり正平を忘れている様子。
一方の未知子にも、長年の恋人・雅夫(段田安則)がいた。雅夫は今をときめく売れっ子スタイリストだ。
しかし浮気性の雅夫には、未知子の友人で、彼女が作るガラス細工のランプを売るアンティーク・ショップの経営者・あき子(雅子)という愛人がいた。
献身的に治療を施しながら、なにかと自分を思い出してもらおうと試みる正平。始めのうちはしつこくされて迷惑気味の未知子だったが、いつしかそんな彼に心を開いていく。化学療法が効き、未知子は手術できる状態にまで回復した。自分で執刀したいと願う正平だったが、正平自身の体調を心配する後輩の医師・前田(内村光良)の薦めで、担当は子宮がんの権威・巌岳先生(中島みゆき)に決まった。
正平は長年の不摂生がたたって、病魔に身体をむしばまれていた。そうとは知らない未知子は、夜勤明けの正平を海に誘い出した。
ランプの材料となるガラスのかけらを、正平と共に集めようと思ったのだ。
死ぬことへの恐怖におびえる未知子を、「あなたは長生きしなくちゃだめだ」と励ます正平。
“欠席”に丸をつけていたが、未知子に誘われて正平は高校の同窓会に出席した。久々の旧友との再会。壇上で未知子はスピーチするが、正平は所在なさげに後ろで佇むのだった。
そして、いよいよ手術の日がやってくる。手術室に送られる前、未知子は正平に告げる。
「先生、これからの50年、私と一緒に生きていただけませんか?」。
正平を求めるように差し出された未知子の手のひらを、驚きながらも握り返す正平。
そして、未知子の手術が始まり無事成功するのだった。
だが、退院の日になっても未知子の所に正平は訪れない。
その後正平は、未知子がいなくなった病室にひとり訪れ、そして倒れてしまう。
雅夫に別れを切り出す未知子。
「あのしつこさが、私を救ってくれたと思う」
と引き止める雅夫を振り切った。
しかし、その時にはすでに正平は死んでいた。
思い出の海岸を訪れた未知子。「先生私はもう大丈夫」と呟く。と、そこに現れる正平。
「僕はずっとずっとあなたにこだわるんだ」
えっ、と驚きながらも未知子は微笑みを浮かべながら「しつこいのね。」「好きよ、ササキン」
「ウーンっ」と喜んでしまう正平。
ふと見上げるとそこに正平の姿はない・・・
サヨナラCOLOR/SUPER BUTTER DOG