この素晴らしき世界。「冷たい熱帯魚」 あらすじと結末




 

解説

上映時間約4時間の『愛のむきだし』などで話題となった鬼才、園子温監督による人間の狂気と愛を描いた作品。実際の猟奇殺人事件に触発された園監督が、猟奇殺人事件に巻き込まれることになる男性が味わう深い心の闇に迫る。主演は、『掌の小説』など数々の邦画に出演しているベテランの吹越満。共演者も『嫌われ松子の一生』の黒沢あすかや『月と嘘と殺人』のでんでんら実力派ぞろい。第67回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門正式出品の問題作に、震撼(しんかん)させられる。
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予告編

あらすじ

2009年1月14日水曜日午後9時11分。どしゃぶりの雨の中を一台の車が走っていた。車内には、小さな熱帯魚屋を経営する社本信行(吹越満)とその妻、妙子(神楽坂恵)の2人。
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娘の美津子(梶原ひかり)がスーパーマーケットで万引きしたため、店に呼び出されたのだ。その場を救ってくれたのは、スーパーの店長と知り合いの男、村田幸雄(でんでん)。
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村田は同業の巨大熱帯魚屋、アマゾンゴールドのオーナーだった。帰り道、強引に誘われ、3人は村田の店へと寄る。そこには村田の妻・愛子(黒沢あすか)がいた。
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村田は、美津子にアマゾンゴールドで働くように勧め、翌日から美津子は女子従業員たちに交じって勤務をスタートさせる。継母である妙子が嫌いだった美津子は、住み込みで働く“新生活”を素直に受け入れていた。しかし、無力なのは社本だ。恩人である村田の強引さに引っ張られるばかりで、全く為す術がない。しかも彼はアマゾンゴールドの裏側で、恐るべき事態が進行していることをまだ何も知らなかった。数日後、村田に“儲け話”を持ちかけられ、呼び出された社本。そこには顧問弁護士だという筒井(渡辺哲)と、投資者のひとり、吉田(諏訪太朗)がいた。門外漢の高級魚のビジネス話に大金融資を逡巡していた吉田だったが、堅実そうな社本の存在も手伝い、契約書に押印。だが直後、吉田は殺される。愛子が飲ませたビタミン剤に毒が入っていたのだ。
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「俺に逆らった奴は、みんなこうなっちまうんだよ」と社本を前に吠える村田。豹変した村田と愛子に命じられるまま、社本は遺体を乗せた車を運転し、山奥にある怪しげな古小屋に辿り着く。村田と愛子は、風呂場に運んだ死体の解体作業を慣れた手つきでやってのける。細切れにされた肉と内蔵が詰め込まれたビニール袋、そして骨の灰。何も知らない妙子と美津子を人質に取られた社本は、それらの処分に加担することになる。やがて社本は、村田の暴走と共に地獄を体験してゆく……。
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結末

処理が一通り終わると、村田(でんでん)は「親父はおかしくなってしまって、この山小屋に閉じこもるようになった。俺も子供の頃に親父にここへ閉じ込められて…辛い思いをしたんだ」と独白し始めた。小休憩の後、最終的に、骨を焼き、内臓や筋組織を川へ捨てた。このようにして、”死体(ボディ)を透明にする”ことを村田(でんでん)は繰り返していたのだった。
店に戻ると、「警察に密告でもしたら、娘や妻がどうなるか分かっているのか?」と脅され、共犯者に仕立て上げられていく社本(吹越満)。吉田(諏訪太朗)の舎弟が「兄貴が最後に会ったのはお前(村田)だろ。どこに行ったんだ?」と店に怒鳴りこんでくる際にも、証言をさせられたのだった。
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だが、警察も既に村田(でんでん)の周辺で失踪者が続発していたことに疑問を持ち始めていた。社本(吹越満)にもその旨を伝え、「以前に村田の下で働いていた男も失踪し、家族も行方不明になっている」と知らされる。真実を伝えるべきか迷う社本(吹越満)だったが、家族のことを思うと伝えることができなかった。



村田(でんでん)からの電話で呼び出された社本(吹越満)は、顧問弁護士の筒井高康(渡辺哲)の家へ向かわされる。そこでは、村田の妻・愛子(黒沢あすか)と情事を行なっていた筒井高康(渡辺哲)が、毒入の栄養ドリンクを飲まされ、死亡していた。慌てふためき、救急車を呼ぼうとする運転手も絞殺し、2人の死体を”透明にする”ため、再び山小屋へと運搬することになった。社本(吹越満)も再び、運搬を手伝わされる。
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鼻歌交じり、冗談交じりに解体を行なっている横で、社本(吹越満)は大人しくしているしかできなかった。再び川へ内臓、筋組織を捨てる際、それを社本(吹越満)にやらせる村田(でんでん)。さらに、「お前の妻(妙子)を抱いたぞ」と告げる。そのことで怒り心頭に達した社本(吹越満)は、村田(でんでん)を殴りつけるが、逆に殴り倒されてしまう。泣きだした社本(吹越満)に、妻・愛子(黒沢あすか)を抱くように強制する。
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村田の妻・愛子(黒沢あすか)を抱きながら、社本(吹越満)は手元にあったペンで愛子(黒沢あすか)の頸動脈を突いた。出血する愛子(黒沢あすか)に釘付けになった村田(でんでん)の頸動脈を再び刺し、社本(吹越満)は村田(でんでん)をメッタ刺しにした。
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瀕死になった村田(でんでん)を山小屋に運び、社本(吹越満)は、愛子(黒沢あすか)にトドメをささせ、解体させた。その後、社本(吹越満)は娘を強引に家へ連れ帰り、家族で食事をとる。社本(吹越満)は、再び携帯電話に出て、彼氏のもとへ行こうとする娘を殴りつけ、失神させる。その横で妙子(神楽坂恵)を強引に犯し、全てを終わらせるために社本(吹越満)は、山小屋へ向かい、警察へ電話した。
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解体を続ける愛子(黒沢あすか)を殴りつけ、それでも死ななかったために揉み合いとなった後に、社本(吹越満)は、ナイフで刺殺する。血塗れとなり、山小屋の玄関口で1人椅子に座っていた社本(吹越満)は、駆けつけた警察官に浴室を示した。警察は妻・妙子(神楽坂恵)と娘・美津子(梶原ひかり)を保護し、一緒に山小屋へと連れてきていた。

妻・妙子(神楽坂恵)が駆け寄ったところ、持っていたナイフで刺殺した。さらに、娘・美津子(梶原ひかり)ににじり寄ると、「お前は1人で生きていけるか?」と問いただす。さらに、腕を刺して「生きるっていうことはなぁ…痛いンだよ!」と言い放ち、自ら頸部を切り裂いた。

出血し、死亡した父親(吹越満)の遺体に向かって、娘・美津子(梶原ひかり)は笑いながら蹴りつけ、「やっと死にやがったな、クソジジイ。起きてみろよ」と言い放った。
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